グループホームゆうゆう

隼人温泉病院
隼人温泉病院
平成21年9月20日 発信
■遺 影
 「ハ~イ!笑ってぇ」「そうそう!いい笑顔だねぇ」…パチリ!館内にモデルの笑い声 とカメラのシャッター音が響きます。
ここ『ゆうゆう写真館』は、1号館の一角にある廊下の白壁を背景に、窓から射し込 む自然光を利用した即席の写真スタジオで、入居者の肖像写真を撮っています。肖像 とはいっても、実際は葬儀に使う遺影写真を撮っているのです。
遺影と聞いて縁起でもない!とか不謹慎だ!とお怒りになるかもしれませんが、私た ちは遺影だからこそ写真を介して本人と向き合い、1対1の真剣勝負で臨んでいます。
 事の始まりは「いつまで生きられるかわからないから、元気なうちに(遺影を)残し ておきたい」と家族からの依頼がきっかけでした。確かに入居者の大半が80歳以上の 高齢ですから、いつ何が起きても不思議ではありません。また、仕事柄葬儀に参列す る機会も多く、遺影に向かって焼香する際にかなり古い写真が使われていると、故人 の面影が少し薄れた印象を受けることもあります。
故人が生前はこんなに明るく元気だったことを遺影に残したい!…そんな思いから普 段の飾らない生き生きした表情を引き出そうと何気ない会話や冗談を交えて雰囲気づ くりに配慮しながら撮影に臨みます。また、撮影ではストロボを使わずに自然光で肌 の質感を出したり、目の輝きを強調するキャッチライトにレフ板を用いて表現したり、 一瞬の表情を逃さないために連写で撮影します。
 こうして出来上がった写真を額装して本人に手渡すと「まぁ~よかおご(美人)やな ぁ」「あぃがてこっじゃ(有難いことだ)」「こん人は誰サァ~け?(この人は誰ですか ?)」など反応は様々ですが、一様に喜んでいただいているようです。家族も遺影を意 識してか、とりあえずは心の準備ができたことに安堵の表情が伺えます。
 遺影とは、ただ単に故人のありし日の姿を写真に残すのではなく、この世に生きた 証としての人生最期を飾るに相応しい、その人らしさを表現してこそ、故人を身近な 存在に感じながら、永遠の別れをより自然に受け入れることができるのではないでし ょうか。そして、入居者の最も身近にいる私たち職員は、こうした思いを遺影にして 差し上げることも大事な仕事であり、使命だと思うのです。

■ゆうゆう便り
 ゆうゆう便り『家族版』が50号を迎えました。ご利用者への連絡紙として平成15年 に発行したのが始まりで、入居者の日常生活の様子や活動・行事などを記事にした手 書きの新聞でした。しばらく休刊した時期もありましたが、平成17年に再開して今日 に至っています。同時に地域の皆様に認知症やグループホームが果たす役割について 啓蒙活動の一環としてのご理解とご支援をいただく目的で『地域交流版』を発行し、 現在38号を数えます。また、ホームページの開設に合わせて『電子版』も掲載してい ます。
 編集者の管理者と管理事務の二人がパソコンとデジカメを駆使し?取材や撮影、編 集、校正、印刷、配布の全てを行います。発行部数は、家族版:20部、地域交流版: 50部で、地域交流版は主に地元の自治会(回覧板)や銀行・医療機関の待合室、スーパ ーマーケット・コンビニの店頭掲示板、ホームを訪問された方々に配布しています。
 内容は認知症やグループホームに関連した話題を中心に、ホームの日常生活を通し て入居者と職員が繰り広げる人間模様を両者の視点で人間の本質に迫り、喜怒哀楽が 織りなす出来事を臨場感あふれるノンフィクションで、ある時はユーモアを交えなが ら詩情豊かな表現で、読みやすく親しみやすい紙面づくりに心がけています。 また、写真も視覚に訴える手段として、記事に即した的確な場面や瞬間を切り取って 掲載しています。
…『ゆうゆう便り』は、これからも利用者と地域に密着した話題を発信して参ります。

 5月のある日、近くにお住まいの女性がホームを訪ねて来られ、自治会の回覧板で 案内している「ゆうゆう便り」(地域交流版)を読んだ感想を手紙でお寄せ下さいました。 よくよく話を伺うと、以前にグループホームで働いておられたそうで、いわば身内と いうか、仲間でした(^0^;
グループホームを通じて認知症介護に関わった経験をお持ちの方だけあって「ゆうゆ う便り」への関心も高く、こうして感想をお寄せいただいたことに職員一同心より感 謝し、お手紙の内容をここにご紹介させていただきます。
前略
 いつも「ゆうゆう便り」を楽しみに待っている地域の者です。今回(ゆうゆう便り: 地域交流版 第33号)は、NHKのど自慢への出演という、とても珍しい様子で、ご利 用者の意気込みや頑張り、また、職員の気配りや緊張感などが、まるで読む者がその 場にいるような感覚で読ませていただきました。本番までには目に見えない職員の皆 様方の努力が多々あった事と思います。
 同じ地域に住む者として、このような素晴らしい施設がある事を嬉しく思い、感謝 しています。ゆうゆうに住んでいらっしゃる方やお世話されている方は、きっと毎日 を楽しく過ごしているのでしょうね。次回の「ゆうゆう便り」は何が載るか楽しみです。
 最後に皆々様のご健康をお祈り致します。ありがとうございました。 かしこ

■見 学
 7月30・31日の両日、霧島市の鹿児島第一高校と 国分中央高校生徒8名が、夏休みを利用して介護老 人保健施設:希望の里『サマーボランティア』に参 加しました。
 31日は当ホームの見学に訪れ、管理者から認知症 の基礎知識とグループホームの概要、そして、ホー ムの日常生活を紹介しながら、認知症高齢者と心で 向き合う介護のあり方について説明しました。
■梅干し
 夏バテ防止に梅干しは欠かせません!…というこ とで、職員の堀ノ内ナリさん(1号館)に自宅で収穫 した梅の実10kgを提供していただき、入居者と梅干 しを作りました。
 梅干しができる過程はまるで人生そのもので、梅 の花が咲いて実を結び(出生)、青梅になって(青春) しその葉で赤く染まり(恋愛・結婚)、シワが寄って 完熟する(老年)。
 「ゆうゆう」の朝食に欠かせない梅干しは、そんな 長い人生を歩んできた入居者の“元気の源”なので す!

【編集後記】
 蝉時雨(せみしぐれ)が止むように、衆院選挙のにぎわいは去り、熱い夏が終わった。 官僚主導や派閥に依存した代議士たちの庶民感覚を忘れてしまった政治を奥の細道風 に一句、「衆院選 暮らしに染み入る国民の声」…今回の歴史的な政権交代で、私たち の暮らしがどう変わるか?…政治への期待と不安はまだまだ続く。